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プラットフォームな人々 その壱

『プラットホームな人々』

プラットホームで見つけた気になる人々の
~観察日記&勝手な想像による人間模様~

<その壱>
『座らない男』

続き
今はこの男(ひと)とは違う時間の通勤電車になったので、少し古い話になります。
彼はぼくより十は若いすらりと背の高い猫背君でした。
その日までは、彼はどちらかというとぼくの後ろに並んでいても電車が来た瞬間にぼくに並び、ドアが開いた瞬間にすばやく車内に滑り込み空いている座席に座ってしまうタイプの男でした。
少なくともずっとそう思っていました。

ぼくの通勤は下りになるので車内は空いています。
空席もちらほらあります。

たぶん「その日」があったのでしょう。
その日を境に彼は座らなくなりました。
正確には「ある座席」以外には座らなくなったのです。
ある車両の進行方向の左側の一番後ろの座席以外には。
たとえそのひとつ横の座席が空いていても座りません。
どんなにガラガラでも・・・

そのことに気付いてからぼくはずっと観察していたのですが、
一切例外はなく、頑なにその席を狙っていました。

実は、彼はその路線の終点で降りずに折り返し上って行くのです。
どうやら上りの「その座席」で座って通勤するために下りの4駅は立っているようなのです。
でもなぜ?

ここからぼくの想像です。
彼はその時間の電車のその車両のその座席に座っている必要があるのです。
彼がその座席に座って東京方面に向かって数駅…
盲目の美少女がその座席の前に必ず立つのです。
彼は毎朝彼女に席を譲ります。
そのために…
毎朝…



どんなもんでしょ?
ええ話でしょ。

えっ?
その座席の寝心地がたまらなくエエからに決まってるやろって?

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